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【特集】 世界の学びの窓から「<第1回>小学生のテクノロジー教育編」(対象:小学生)

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特集「世界の学びの窓から」

この記事では「【特集】世界の学びの窓から」と題し、海外の子どもたちの学習事情について、5回にわたって連載していきます。第1回の今回は"小学生のテクノロジー教育"をテーマに、世界の教育現場から最新事情をお届けします。


世界のテクノロジー教育の最新事情

2020年度小学校新学習指導要領の実施に伴い、日本でも小学校でのプログラミング教育が必修化されます。今後、テクノロジー活用が加速していく一方であり、子どもにこのような新しい学びの機会が増えることは良いことでしょう。しかし、実際にどんなことを学習するのだろうか?家庭学習では何をしたらいいのだろうか?など保護者の悩みは尽きません。


そこで今回、世界に先駆けて「テクノロジー教育」を導入している国々に焦点を当て、各国の取り組みの実例や学習のポイントを見てみましょう。



フィンランドから ~「テクノロジー教育」はすべての学びに通じる!~

中国から ~企業が注力 未来のテクノロジー人材をおもちゃで育てる?~

まとめ




フィンランドから ~「テクノロジー教育」はすべての学びに通じる!~

北欧の教育先進国、フィンランドでは2016年から小学校でのプログラミング教育が必修化されており、すでにその2年前の2014年にはプレカリキュラムの導入が始動していました。


従来、子どもの情操教育、個の力を伸ばす教育、そして目的意識を重視したカリキュラムの実施で確実に成果を上げてきたフィンランドは、OECD(経済協力開発機構)が、先進国を中心に15歳児童の学力調査として行っている世界共通学力テスト「PISA(生徒の学習到達度調査)」でも、常にトップに位置しています。


そんなフィンランドでは、テクノロジー教育においても独特の教育方法を導入していることで話題になっています。


それは「現象立脚型教育(Phenomenon-based leaning=PhenoBL)」と呼ばれているもので、フィンランドの教育の秘策と言われています。


このPhenoBLは、理念として

  • 科目、教室内外、国内外を超えたところで学びのきっかけを持たせる
  • 既知の知識を活用して、新たな問題解決の道を見出す
  • 論理的思考力を育てる
  • 協働して学ぶ


――という4つのポイントに主眼をおいています。


特に、子どもたち自身が疑問を持ったことをトリガーとして、様々な角度から「情報」を組み合わせ、自ら「答え」を出させることを重要視しています。


そのためフィンランドには、生徒がいつでも調べ物ができるよう、自由にアクセスできる「Open Educational Resources=OERs」(オープン教育リソース)というデータベースが構築されています。この問題解決の過程こそが、まさにテクノロジー教育で必要とされる論理思考を育むことにつながっているのです。


フィンランドにおける「テクノロジー教育」は、このPhenoBLの理念にのっとって、プログラミングや情報教育の授業に限らず、算数、理科、社会、さらには体育や美術にまで科目の枠組みを超えて適用されているのです。


このフィンランドの取り組みは、テクノロジー教育の本当の目的はプログラミングコードを覚えることでも、素早くキーボードを打てるようになることでもない、ということに気づかされる、興味深い一例ではないでしょうか。



中国から ~企業が注力 未来のテクノロジー人材をおもちゃで育てる?~

中国のテクノロジー企業の勢いは、近年目を見張るものがあります。AIベンチャーやIoT企業がひしめくIT都市・深センの話題を耳にしたことがある方も多いことでしょう。


今や中国は、従来型のIC / UART(汎用非同期送受信回路) 機能を搭載したマイコンといったハードウェア生産だけではなく、ソフトウェア開発に関しても世界のトップとなり、多くのテクノロジー企業がビジネスで成功しています。


そんな中国企業の悩みは「将来のビジネスを担う子どもたちをいかに育成するか」ということでした。多くの子どもたちに小学生時代からテクノロジーに興味を持ってもらうため、中国企業実施した施策、その事例の一つをご紹介します。


2019年6月、深センに本拠地を置くドローンの生産で世界的に有名なメーカーDJI社が、プログラミングを学びたいすべての人に向けて開発された「ROBOMASTERS S1」を発表しました。一見、よくできた戦闘用ロボット玩具に見えるかもしれませんが、これは、DJIが開催する世界規模のロボバトル大会「DJI RoboMaster」から生まれた教育用ロボットです。


楽しみながら、プログラミングのみならず物理学、科学、数学への理解と知識を高めていくとされており、例えば、子どもたち同士でロボットを対戦させている最中には攻撃の状況、残りのHPなどをリアルタイムでモニターできるほか、事前に専用アプリを使って、ロボットの動きをプログラミングすることもできます。上級者ともなれば、機体の強化から高度な攻撃パターンのコーディングまで自在にカスタマイズできるように。


その遊びの過程で、論理思考試行錯誤の姿勢が身についていくと期待されています。


子ども向けの教育用ロボット玩具RoboMaster S1と遊ぶ子ども

実際に多くの子どもたちが、実力をつけて「DJI RoboMaster」に挑むなど、このロボプログラミングに熱狂しています。 ※「DJI RobMaster」の模様はこちらの動画から


このように、世界的なドローンメーカーが直接の顧客層と異なる子どもたちを対象に、ドローン以外の製品を発表したことには、子どもたちのテクノロジーへの関心を育てるという意図があり、世界中が注目しています。


確かに、子どもたちを単にパソコンに向かわせるよりも、このような方法のほうが数倍、数十倍もテクノロジーへの関心を育てる助けになるのかもしれません。企業が注目する子どもたちのテクノロジー教育には、日本の大人も見習うべきところが多くありそうです。




まとめ

フィンランド、中国の例から言えるのは、テクノロジー教育はプログラミング・コーディングなど机上の学習だけにとどまってはいけないということです。様々な科目や遊び、家庭でのコミュニケーションさえも、テクノロジーを学ぶ重要な場面になり得るのです。


これから始まるプログラミング教育に向け、お子さんと関わる中で、ぜひこのポイントを思い出していただけたらと思います。


2019/6/26

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