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【特集】 世界の学びの窓から「<第4回>英語教育に奮闘する各国から日本が学ぶことは?」(対象:全年齢)

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特集「世界の学びの窓から」

この記事では「【特集】世界の学びの窓から」と題し、海外の子どもたちの学習事情について、5回にわたって連載していきます。第4回の今回は、世界の「英語学習」をテーマに、私たち日本人も見直したい子どもの英語教育について話題をお届けしたいと思います。


子どもの教育で頭を悩ませるのはプログラミングやテクノロジー教育だけではありません。多くの方が外国語教育、なかでも「英語教育」の重要性を感じているのではないでしょうか。

今の子どもたちは親世代と比較すると、海外に踏み出す機会は格段に開かれています。高等教育機関での留学プログラム、海外からの留学生との交流、さらには、社会に出たあとも英語に触れる機会が増えました。このグローバル化の世の中で、日本語の能力だけでキャリアを拓く難しさを肌で感じている方も多いのではないかと思います。

現代の生活に欠かせないインターネットも、子どもたちの語学能力向上を必要とする大きな要因です。もちろん、日本語のコンテンツは十分に充実していますので、ニュースやエンターテインメントまで、日常的な情報であれば不自由なく得ることができます。

しかし、学術的な情報の収集、海外動向の理解、国際社会における日本の役割や立ち位置の分析・把握という観点では、世界の公用語である英語で書かれた情報量が最も多く、最新の情報を得やすいことに気づかされます。原文そのままの表現に触れ、ニュアンスを汲み取ることで理解が深まるということもあるでしょう。

また、現代ではTwitterやFacebookなどSNSの普及に伴い、情報伝達の手段がより簡易化、一般化しました。海外のニュースも比較的すぐに届き、便利になった一方で、それらSNSは、バイアスのかかった2次、3次情報がとめどなく流れてくる場でもあるのです。

これからの情報社会を生きる子どもたちには、自分の力で正しい情報を得て、考える力をつけることが求められます。そのためにも、実用的な英語教育の必要性が高まっていると言えるでしょう。



「英語習熟度」のものさしで見た世界 日本は88か国・地域中49位

アメリカ・ミズーリ州の英語教育問題 教師に求められるスキルとは?

インドが抱える教育システムの課題 早期英語教育が機能するには

まとめ -2020年からの早期英語学習に向き合うために-




「英語習熟度」のものさしで見た世界 日本は88か国・地域中49位

世界最大の民間英語教育機関EFエデュケーション・ファーストが発表した「英語習熟度指標レポート2018」(EF English Proficiency Index 2018[pdfデータ])によると、母国語を英語としない88の国や地域のうち、習熟度ランキングでトップに位置するのはスウェーデン。対して日本は49位、「習熟レベルが低い」(Low)という評価を受けています。同じアジアの韓国は31位、ベトナムが41位、中国と台湾が47位、48位と続き、日本はその後に位置する順位です。



英語習熟度ランキング

(出典:EF English Proficiency Index Ranking 2018) 画像をクリックすると画像が表示されます


どの国・地域にも共通して言えることですが、英語教育を受け、勉強を続けた優秀な人はどこにもいます。もちろん日本にも、高い英語能力を持ち活躍する方は大勢います。


このレポートは「国・地域」という区切りでの英語習得率に一喜一憂するためのものではなく、その結果を、日本全体の教育システムや英語学習への意識を見直すための客観的な指標としてとらえてみましょう。


日本では終戦後まもなく、義務教育である中学校で英語が導入され、実質的に必修化しています。それにもかかわらず、実用的な英語が確かな実力として子どもたちのスキルアップにつながっていない点が問題視されています。これまでと同じ英語教育を続けていても、日本の子どもたちの英語力向上には限界があることは明らかです。


日本における英語教育の変革のヒントを探るために、日本と同様に第二言語としての英語教育に奮闘する国・地域の現状をのぞいてみましょう。




アメリカ・ミズーリ州の英語教育問題 教師に求められるスキルとは?

英語教育に取り組む国と聞いて、第一にアメリカを挙げる人はどれくらいいるでしょうか。多くの方がアジア、中東の国々、ヨーロッパであればイタリアやスペインなどを思い浮かべる方が多いかもしれませんね。


アメリカ・ミズーリ州の教育機関であるDESE(Missouri Department of Elementary and Secondary Education)は、1985年に3,156人であった同州の英語学習者(学生)が、2018年には3万8,952人と10倍以上になったことを発表しました。DESEによると、ミズーリ州で一般的な外国語はスペイン語、アラビア語、ベトナム語であるといいます。


ミズーリ州は歴史上、ドイツ系、アイルランド系の移民をはじめとするヨーロッパからの移民の影響を強く受けている地域です。また、ヨーロッパ以外の移住社会も成長しており、ラテン系移民社会ではスペイン語が話されていたり、東南アジアからの移民も多いことが知られています。


NBC系列のローカル局KY3の報道によると、同州の教育支援組織であるMCE(Missouri Coalition for Environment) で理事を務めるBrent Dunning氏は、子どもたちが教育現場では英語でのコミュニケーションを求められる反面、家庭では母国語(両親が話す非英語の言語)が日常的に使われており、多くの子どもたちが英語学習を強く望んでいるという現状を話しています(出典:KY3News)。


勉強をする子供


さらにミズーリ州立大学では、他の言語を話す人に英語を教える教師の訓練プログラムが行われており、このプログラムのコーディネーターを務めるミズーリ大学のAndrea Hellman教授は次のように述べています。


「英語学習者が学年レベルのカリキュラムで成功を収められるようにするのはとても難しい。ですから、コミュニケーション英語だけでなく『アカデミックイングリッシュ(進学に必要となるような専門的な英語)』も教えるのです」


大学、大学院でアカデミックイングリッシュを学び、通常の会話で使われる英語との違いに加えて、英語で物事を論理的に解説すること、そしてネイティブイングリッシュで情報を集めることの難しさに驚かれた方は少なくないかと思います。


前述のHellman教授は、バイリンガルであることが必要な子どもたちのために、修士号を持つ教師が第二言語の教師として認定されるようにすることを強く求めると言及しています。


日本においても、アカデミックイングリッシュの習得を見据えた語学教育と、それを可能にする教師の育成が、今後の早期英語教育のポイントとなるかもしれません。




インドが抱える教育システムの課題 早期英語教育が機能するには

人口と経済成長で中国と並ぶアジアの大国・インド。さらなるテクノロジーの発展を見据え、欧米を中心に世界の大きな注目を集め続けていますが、そのように勢い盛んなインドにも、子どもたちの英語教育においては課題があるといいます。


海外で出会う多くのインド人は流暢に(ときに早口に)英語を話すため、英語が堪能な国民が多いという印象があるかもしれません。しかし、前述の「EF English Proficiency Index Ranking 2018」によれば国全体で見ると88か国中28位、「習熟レベルは中」(Moderate)の位置づけです。国としての英語習得レベルでは、教育機会のある優秀な層と十分に教育を受けられない層に分かれてしまうのです。


インドメディア「ENTRACKR」によると、子どもの早期英語教育の課題となっている背景がいくつかあるとのこと。


インドには22の公的言語があり、会話では700以上とも800以上とも言われる方言が使われています。子どもたちは家に帰れば家族の話す言語で話し、その中で育っていきます。子どもが多くの時間を過ごす家族とのコミュニケーションや社会での日常生活が第二言語能力習得を妨げていることは言うまでもありません。


また、インドの教育制度もその一つです。インドでは工学系大学進学志望者はJEE(Joint Entrance Examination)という共通試験に合格することが必須条件となっています。また、医学や歯学系といった理系大学進学志望者はNEET(National Eligibility-cum-Entrance Test)を受験する必要があります。


インドでは初等・中等教育で英語が必修科目となっていますが、これらの大学入試では英語が必須科目になっていないため、多くの学生は英語の勉強を後回しにすることもあるというのです。


もし英語試験の義務化が導入されれば、幼稚園から12歳までの子どもたちにも早期英語教育の機会がより増えるだけでなく、継続学習も促されるでしょう。さらには、インドが得意とするテクノロジーを活用した英語教育「EdTech(エドテック)」市場が広がると見られています。



まとめ -2020年からの早期英語学習に向き合うために-

日本を含め、多くの国が第二言語としての英語教育に奮闘してます。


今回ご紹介した、アメリカ・ミズーリ州、インドの事例では、どちらにも教育制度、教員の課題、家庭でのコミュニケーションなどの課題がありました。それは、日本の私たちが直面する英語教育の課題にも通じるところがあるのではないでしょうか。


教育は、「政府の方針・教育現場・家庭」の3つがそれぞれに影響しあって子どもたちに価値を提供できるものです。


学校や塾に頼り切りになるのではなく、家庭で英語に触れる機会を増やしてみる、行き詰まってしまったら他国の教育方針を参考にしてみるなど、家庭でもできることはありそうです。それぞれの側面から、子どもたちへの教育アプローチを考えられると良いですね。



2019/10/1

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